グランドピアノとアップライトピアノの弾き心地の違い

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コンサートでも使われるグランドピアノと、一般家庭でも気軽に導入しやすいアップライトピアノ。同じピアノでも見た目の他にも様々な違いがあります。
では、グランドピアノとアップライトピアノではどのような違いがあるのでしょうか? ここでは主に弾き心地に焦点を当てて、その違いを検証してみましょう。

グランドピアノとアップライトピアノの弾き心地の違い

水平なグランドピアノと垂直なアップライトピアノ

ひとくちに「ピアノ」と言っても、グランドピアノとアップライトピアノでは、その形、機構に大きな差があり、音色や鍵盤のタッチにも差が生じます。
内部機構が水平に広がる構造のグランドピアノに対し、アップライトピアノでは鍵盤から先の機構を垂直に起こして省スペース化を図っています。
普段アップライトピアノを弾いている人がグランドピアノを弾く場合、まずその鍵盤のタッチ感の違いに驚くことでしょう。一般にグランドピアノの鍵盤のタッチはアップライトピアノと比較して、よりしっかりしています。

とはいえ、グランドピアノの一番の特徴は、やはりなめらかに伸びるその音の良さ。また、無理のない構造から生まれる生の音が自然な形で演奏者の耳に届くので、豊かな音色に包まれた状態で演奏することができます。また、和音を弾いてもひとつひとつの音が濁らずクリアに響きます。
また、音量の幅はグランドピアノの方が圧倒的に大きく、音に抑揚をつけるなどの微妙な表現を加えることができるのも、アップライトピアノにはできないグランドピアノだけの長所です。

敏速な指の動きに対応できるグランドピアノ

グランドピアノでは、指の動きを無駄なくハンマーに伝えて打弦することができ、素早い連打がスムーズに行えるという特徴があります。
これはグランドピアノの機構が水平であるため、鍵盤の操作で打ち上げたハンマーが自重で元の位置に戻るからです。ハンマーをスプリングの力で戻すアップライトピアノでは、グランドピアノに比べて連打に限界があるのです。

これは一般的なグランドピアノで1秒間に14回程度の打弦が可能なのに対し、アップライトピアノでは半分の7回程度に留まっており、この結果がトリルなどの表現に大きな差をもたらすのです。

ペダルの操作と効果にも大きな違い

3つ、もしくは2つのペダルを持つという点では同じですが、各ペダルの働きとその効果には大きな違いがあります。

特に左ペダルの働きは大きく異なっており、アップライトピアノでは「ソフトペダル」と呼び、ハンマーを弦に近づけて音をソフトにする働きをするのに対し、グランドピアノは「シフトペダル」と呼び、打弦の位置をずらすことで音量と音色を変える働きをします。

また、ダンパーを制御して弦の振動を長く続けさせる「ダンパーペダル」に関しても、グランドピアノでは重力も利用した上下動により、アップライトピアノに比べてより効果が高くなっています。

このようにグランドピアノとアップライトピアノでは、弾き心地にも大きな違いがあり、特にグランドピアノは表現力の幅が広くなっています。

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